サンゴの一斉産卵
マレア宮古島
ダイビング情報ブログ

サンゴの産卵時期はいつ?4月〜7月に宮古島で観察しよう!

サンゴの産卵を見たことはありますか?または、その匂いを嗅いだことはありますか?

サンゴの産卵は、主に5月~6月の大潮・満月の前後の夜に行われます。その独特な匂いと神秘的な光景は見る者を魅了してやみません。また、その美しさだけではなく、あまり知られていませんがサンゴは私たちの生活になくてはならない存在です。日本に生息している数多くのサンゴたち。それらを今後も守っていく活動が、各地で盛んに行われています。

サンゴの産卵を観察する宮古島のナイトダイビングについての詳細はこちら

神秘的なサンゴの産卵

サンゴは水温が30℃ほどの暖かい海で生息する“動物”で、イソギンチャクやクラゲの仲間です。基本的には熱帯地域の海岸に多く分布しており、日本では沖縄を中心に北は千葉県付近まで観察されています。サンゴの種類は判明しているだけでもおよそ800種類以上。その50%にもなる400種類を沖縄で見ることが可能です。地球上の半分のサンゴが沖縄に生息しているのです!

日本は非常に狭いエリアにたくさんの種類のサンゴが生息していることでも有名で、世界でも有数の生物種が観測されています。

参照:https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/5241.html

八重干瀬のコーラルシアターでダイビング

サンゴの種類について

サンゴは大きく分けて2種類あります。硬い骨格を持つ「ハードコーラル」と柔らかい骨格を持つ「ソフトコーラル」です。また、サンゴ礁をつくる造礁サンゴ(ミドリイシ類、コモンサンゴ類、ハマサンゴ類、キクメイシ類など)と、単体で生息する非造礁サンゴ(アカサンゴやシロサンゴ、ベニサンゴ、モモイロサンゴなど)の2つに分類されます。

一般的に、サンゴと言われる物の多くが前者の造礁サンゴのことで、非造礁サンゴはその多くが深海でゆっくりと過ごして成長します。

宮古島の砂山ビーチ空撮

サンゴの重要な役割

サンゴはその姿が美しいだけではなく、海の中で大変重要な役割を担っている存在であることが数々の研究でわかっています。サンゴの役割のひとつが、4分の1の海洋生物の住処であるということ。もし、サンゴが絶滅してしまったら、住処にしている生き物たちはもちろん、それらを餌にしている生き物もいなくなってしまうかもしれません。サンゴが絶滅すると約過半数の海洋生物が消えると言われているのは、あながち過剰な心配ではないでしょう。

また、サンゴは二酸化炭素を吸収してくれる役割も持っています。その量は、森林の50倍以上。陸の空気中にある二酸化炭素が海の中に溶け込み、海の中にあるサンゴがそれを吸収し、酸素を排出しているのです。

宮古島の珊瑚礁

サンゴの産卵時期はいつ?

満月を狙って産卵する

サンゴは一般的に海水温の上昇に合わせて産卵をすると言われています。時期として最も多いのは、ミドリイシ類が産卵をする5月〜6月の間の満月前後。海水温が高まることでサンゴの成長が促され、満月の前後である大潮の間に産卵をするのです。これは、満月により潮の干満の差が大きくなることに関係しており、サンゴはこの大きい潮の流れを利用して、産卵した卵を少しでも遠く広げようとしているのです。しかし、風が強すぎたり波が高すぎたりしても良くないため、大潮の時期で、かつ風速が高くない日を感知して産卵しているようです。

それでも、サンゴの産卵のメカニズム自体がまだまだ研究段階。人間には感知できない自然現象をも考慮してベストなタイミングで産卵をしているため、その日を予測することはかなり難しいと言えるでしょう。

今年のサンゴの産卵はいつ?予想日をチェックしてナイトダイビングに参加しよう!

産卵しそうなサンゴ

産卵時は匂いがする!

サンゴは一斉に産卵が行われるとされていますが、種類や個体によって少しずつ時期がズレることもしばしば。沖縄本島中部では8月にサンゴの産卵が観察されたこともあります。広範囲で産卵が行われた場合、その翌日は海岸や湾内に卵が漂い赤潮が発生したようになります。匂いは非常に生臭く、卵が腐ったような硫黄のような香りでいっぱいになります。また、水中ではこの匂いに誘われるように、他の魚達も卵を食べに集まってきます。慶良間諸島や恩納村、粟国島ではサンゴの卵を食べに沿岸に近づいてきたジンベエザメが目撃されることも。

地元の方々やダイバーたちは、この独特な匂いを基に産卵の日を判断します。ナイトダイビングでサンゴの産卵を見に行った後は、ダイビング器材にも匂いが付きますのでよく洗いましょうね。

Coral2

サンゴの産卵の仕組みは?

サンゴの産卵の仕組みは実に神秘的です。時期になると各サンゴが今か今かとバンドル(精子と卵子が入ったカプセルのようなもの)を抱えて待ち、時が来たら一斉に海中へ放出します。放出されたバンドルは、海面に向かってゆっくりと浮上。海面にたどり着いたバンドルは、波などの刺激によってはじけ受精します。

受精した卵は、そのまま海を浮遊しながら四方八方に拡散し着底します。その後、「プラネラ」と呼ばれる幼生として水中を漂います。やがて、固着する場所を見つけ着床。プランクトンなどを取り込みながら、成長していき「サンゴ」になって行くのです。

サンゴのバンドル

ナイトダイビングでサンゴの産卵を観察

サンゴの産卵を水中で見ることができるのが「サンゴの産卵ナイトダイビング」です。産卵を間近で見るためには、風、気温、水温、月、潮など全てを考慮して狙いを定めて潜ります。サンゴの産卵は、基本的に夜7時~夜中にかけて行われるため、必然的にナイトダイビングになります。

真っ暗な水中でライトを片手に、サンゴから浮かび上がる無数のピンク色のバンドルを眺めるのは幻想的でそれは素晴らしい光景です。慶良間諸島や恩納村など沖縄県内に観察ポイントは様々ありますが、夜ということもあり、比較的浅瀬のサンゴを狙っていきます。そのため、1時間近く潜っていることもあります。

来間島でサンゴの産卵

宮古島ではボートダイビングではなく、来間島のビーチで観察することができます。水深が3m〜6mとかなり浅いので、サンゴのポリプで放出の時を待っているバンドルを眺めて、一つずつ浮かび上がって離れていく姿をじっくり観察することができます。サンゴの種類によって産卵方法や狙う時期が若干異なりますので、旅行スケジュールを調整してご参加ください。

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サンゴ礁の脅威と守る活動

種類の多さと重要性、価値がこれだけ判明しているにも関わらず、年々サンゴの数が減っているのはご存知でしょうか?

クリスタルパーク

サンゴの白化現象

昨今、問題視されているひとつがサンゴの白化現象です。白化現象とは、サンゴの色が無くなり白くなってしまうことで、これにはサンゴの色のもとになっている褐虫藻(植物プランクトン)が関係しています。この褐虫藻はサンゴと共生しているのですが、何らかの原因でこの褐虫藻が抜け出てしまうとサンゴの骨格が透けて見え「白化」した状態になります。白くなってしまったサンゴは栄養を受け取ることが難しくなり、この状態が続くと死滅します。

サンゴを食べるオニヒトデ

サンゴを食べる生物の増加

サンゴを食べる主な生き物は、シロレイシガイダマシやヒメシロレイシガイダマシ、オニヒトデなどですが、これらの大量発生がたびたび目撃されています。大量発生の原因は、陸からの生活排水だと考えられています。赤潮の発生ともつながりますが、昔と違って栄養価や塩分の高い排水が海に流れ込んでいるため、それらが一部の生き物の大量発生につながっているとされています。本来、海に無い栄養素であったり、そのバランスが崩れたりすることで、水中の栄養素が過剰に増え様々な問題を引き起こしているのです。

サンゴを守ろう

まとめ

気温や水温の上昇と共に、その神秘的な姿を私たちに見せてくれるサンゴ。日本には世界でも有数なサンゴ礁が各地に広がっています。サンゴは、多くの生き物の住処になっていると同時に、私たちに必要不可欠な環境を生み出してくれている存在。つまり、サンゴの産卵は私たち人間にとっても貴重なことなのです。それなのにも関わらず、現在世界中でサンゴの白化現象や水質汚染、ダイビングや漁業などでの直接の破壊が深刻化されています。毎年、サンゴの産卵が無事に行われ、これから先もダイバーたちを魅了してくれるよう、この偉大なサンゴと海を守っていきましょう。

海やサンゴのために何かできることは!と思っていただけた方は、まずはこの神秘的な景色を自分の目で見て感動してみてください。

今年のサンゴの産卵はいつ?予想日をチェックしてナイトダイビングに参加しよう!

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